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湿疹・皮膚炎

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎

症状

かゆみのある、左右対称に関節部などの好発部位に赤いぶつぶつした発疹が、長期間(乳児で2ヶ月以上、その他では6ヶ月以上)続く場合、アトピー性皮膚炎と診断します。

年齢により以下のような発疹の特徴があります。
乳児期 :顔面、頭皮にぶつぶつ、じくじくした発疹ができる。
小児期 :全身がかさかさし、ひじの内側、ひざの裏側にぶつぶつした発疹ができる。
青年期以降 :顔面、上半身を中心にかさかさ、ごわごわした発疹ができる。

頻度

軽症例も入れれば、小児の約15-20%、成人の2-10%の頻度で比較的多い疾患です。
きちんと治療すれば、小学校卒業時には寛解すると思われます。

原因

1遺伝因子と2環境因子が複雑にからみ合って発症するといわれています。

  1. 遺伝因子
    皮膚のバリア機能が弱い(皮膚の角質細胞内の天然保湿因子、角質細胞間のセラミドが少ない)
    外から入ってきたアレルゲンに反応しやすい(IgEを作りやすい体質)。
  2. 環境因子
    アレルゲン(ダニ、ハウスダスト、花粉、カビ、食物など)
    アレルゲン以外(汗、乾燥、引っかくなどの物理的刺激、石鹸などの化学的刺激、ストレス)

近年、フィラグリン遺伝子異常などによる皮膚バリア機能の低下が発症メカニズムのひとつとして注目されています。
バリア機能が破綻した皮膚からアレルゲンが入り、皮膚炎を引き起こすという考え方です。

治療の目標

短期間で完全に治すことはできませんが、
時間をかけて地道に治療を続けることで、
“症状があっても軽微であり、日常生活に支障がなく、薬をあまり必要としない状態”
を目指します。

治療法

スキンケア、炎症を抑える治療、悪化因子の除去が3本の柱です。

スキンケア
正しい皮膚の洗浄法、保湿剤による保湿により皮膚のバリア機能を高めます。

炎症を抑える治療
ステロイド外用剤など炎症を抑える外用剤により炎症を抑えます。
かゆくなくなるまでではなく、炎症が治まるまで(すべすべになるまで)外用するのがポイントです。
再燃しやすい患者さんには、残存している潜在的な炎症を制御するために外用剤の外用頻度を徐々にゆっくり減らしていくプロアクティブ療法をある程度の期間行うと、再燃が少なくなり、QOL(クオリティオブライフ)が高まります。
血液検査でTARCというアトピーの重症度を測りつつ、外用の強さを弱めていくこともあります。
かゆみがひどい場合は、掻くことで発疹が悪化することを予防するため、抗ヒスタミン剤の内服を併用します。
重症の場合は、紫外線療法(ナローバンドUVB、エキシマライト)も考慮します(当院ではエキシマライトのみ治療可能)。
近年JAK阻害薬内服、生物学的製剤(デュピルマブやネモリズマブ)が投与適用になり、既存の治療への効果が乏しい場合には投与可能な施設をご紹介いたします。

悪化因子の除去
問診、採血でのアレルゲン検査、必要によってはプリックテストやパッチテストなどの皮膚テスト(皮膚テストは他院への紹介となります)で悪化因子を知り、可能なものは除去します。
ただ、すべて除去するとなるとストレスがたまったり、栄養状態が悪くなったり逆効果となる場合も多々ありますので、ライフスタイルに照らし合わせて、何を除去するか考えていく必要があります。

外用の抗炎症薬の特徴について

ステロイド外用剤
ステロイドは体内で分泌されている、生命維持に必要なホルモンで、ストレスなどに打ち勝ち、炎症を抑える作用があります。
ステロイド外用剤は刺激やかぶれなどの副作用が少なく、高い抗炎症作用があり、またきちんとした指導の下で外用している場合は全身的な副作用に関してはほぼないと思われます。
顔面などに長く外用すると赤ら顔になるなどの局所的な副作用が出現することがありますので、顔面については、炎症が改善してきたらタクロリムス、デルゴシチニブ、ジファミラスト外用に切り替えていったほうがよいと考えられています。

タクロリムス軟膏
免疫抑制剤の外用剤です。
弱めのステロイドに匹敵する抗炎症作用がありますが、2歳未満には使用できません。
1回当たりの使用量の上限があります。
分子量が大きくて正常な皮膚からは吸収されない点から、アトピー性皮膚炎特にプロアクティブ療法に使用するのに適した外用剤です。
欠点は、炎症がひどいときに使用すると刺激感が強いことで、ある程度炎症が改善してからステロイドから切り替えるという使用法が勧められます。

デルゴシチニブ軟膏
JAK阻害薬の外用剤です。
生後6カ月から使用可能であり、タクロリムスに比して刺激感は少ないですが、抗炎症作用がやや弱めかつ効果発現が遅い傾向があります。
皮膚バリア機能改善効果も期待されています。
1回当たりの使用量の上限があります。

ジファミラスト軟膏
PDE阻害薬の外用剤です。
生後3か月から使用可能であり、1回当たりの外用量の制限がないのが特徴です。
抗炎症作用が弱く、効果発現も遅いですが、皮膚のバリア機能を高める作用も併せ持っています。

タピナロフクリーム
AhR(芳香族炭化水素受容体)調節薬の外用剤です。
12歳以上で外用可能です。
ステロイド以外の外用薬の中で唯一のクリーム基材で塗り心地が良く、外用頻度も他薬剤が1日2回であるのに対し、1日1回の外用でよい点が特徴です。
新薬で、効果のある方には効果が出ますが、毛包炎、頭痛といった副作用を生じる場合もあり、今のところ副作用の有無を確認しつつ小範囲から外用開始としています。
皮膚のバリア機能の改善にも効果があります。

その他の湿疹・皮膚炎

皮脂欠乏性湿疹

症状

冬など乾燥しやすい季節や環境下で、すねや、腰周りなどがかさかさし、かゆみを伴います。
ひどいときは皮膚がひび割れたり、ぶつぶつした発疹ができてきます。

原因

加齢による皮膚の保水力の低下、入浴時の洗いすぎ、エアコンなどによる乾燥により、皮膚のバリア機能が低下して起こります。

予防

入浴時は刺激の少ない石鹸を泡立ててこすらずに洗うこと、秋口から入浴後に保湿剤をよく使用することで予防できます。
保湿成分入りの入浴剤の使用も良い影響を与えます。

治療

かさつきのみの場合は入浴時の洗い方の指導と保湿剤外用のみで軽快します。
ぶつぶつ湿疹ができた状態では、ステロイド剤と保湿剤を併用して治療します。
よくなってからもしっかり保湿することが大事です。

脂漏性湿疹

症状

乳児や思春期以降に頭皮、顔面などの皮脂分泌が盛んな部位にかさかさした発疹ができます。
時には赤くぶつぶつしてかゆみを伴います。

原因

皮脂中のトリグリセリドと、皮膚常在菌により分解されてできる遊離脂肪酸が皮膚に刺激を加えて発症します。
ストレス、ビタミンB2B6の不足が関係することもあります。

治療

洗顔洗髪の励行で清潔を保ち、ステロイドや抗真菌剤外用を中心とした治療をします。
必要によってはビタミンB2B6内服も併用します。

手湿疹(手あれ)

症状

仕事家事などで手をよく使う人の手に多く見られます。
手指がかさつき、ひどくなるとあかぎれや水疱ができます。

原因

摩擦、お湯の使用などにより手のバリア機能が低下して生じます。
水仕事だけでなく、パソコン作業、掃除機かけ、庭仕事などでも起こります。

治療

手を使う際はなるべく、綿の手袋、ゴム手袋を使用して手を保護すること、こまめに保湿することが大切です。
亀裂ができたり水疱ができたりしたときはステロイド外用剤を併用します。
作業前にシリコン入りの保護クリームを使用することもおすすめです。
よくなっても手の保護と保湿をしっかりすることで再燃を予防します。

接触皮膚炎(かぶれ)

症状

接触原に対するアレルギー反応、物理的刺激により、接触した部位にかゆいぶつぶつした発疹や水疱ができます。
ひどいときは発疹が全身に拡大することもあります。

原因

発疹の分布や場所、詳しい問診で推測します。
顔面  :化粧品、花粉、歯磨き粉など
頭 :整髪料、毛染め、シャンプーなど
手 :洗剤、草木、職業的に触れるもの
足 :履物など

治療

原因を避け、主にステロイド外用剤で加療します。
ひどいときはステロイド内服が必要なこともあります。

検査

原因が確定できないときは、治ってからパッチテストで原因を究明できることもあります。