みやざわ皮膚科

横須賀市大津町の皮膚科、みやざわ皮膚科

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乾癬(かんせん)

日本人には従来少なかったのですが、食生活の欧米化とともに最近増えている皮膚を主体とする慢性の炎症性疾患です。
読み仮名は“感染”と同じですが、他の人にはうつらない疾患です。
乾癬のなかでは尋常性乾癬が約90%を占め、ついで多いのが関節症状を伴う関節症性乾癬です。

 

1.尋常性乾癬

症状

頭皮(特に生え際)、肘、膝、臀部、へそ周りなど刺激を受けやすい部を中心に大小の白いかさぶたをつける赤くごつごつ盛り上がる発疹ができます。
かゆみはある場合もない場合もあります。
発疹のないところを、掻いたりして刺激すると、乾癬の発疹が誘発される(ケブネル現象)こともあります。
爪がボコボコ点状にへこむような変形をきたす場合もあり、その場合は関節症性乾癬への移行の可能性があります。

 

原因

まだ完全には解明されていません。
遺伝的素因、外的要因(物理的刺激、食生活、喫煙、ストレス、薬剤など)、免疫学的素因(種々のサイトカイン特にTNF-αの上昇やIL-17を産生するT細胞の関与)が組み合わさって、炎症と表皮細胞の過剰な増殖をきたすのではないかと考えられています。

 

治療

①②を基本に重症度、患者さんのライフスタイルやニーズに合わせて組み合わせて選択していきます。

①生活指導
禁煙、食事指導(野菜魚を多く、肉油ものを少なく摂取)、入浴時にこすらない、肌触りのよい衣服を着るなど。
②外用療法
ステロイド外用剤:炎症をおさえます。
活性型ビタミンD3外用剤:表皮細胞の異常な増殖を抑えます。
ステロイドと活性型ビタミンD3の合剤(ドボペット軟膏)も発売され、外用の効率が上がりました。
③光線療法
紫外線の持つ”免疫の過剰な働きを抑制する力“を利用して症状の改善を促します。
局所的に外用でよくならない部位がある場合はエキシマランプ、発疹が全身にあり外用が困難な場合はナローバンドUVBやPUVA療法を行います。
④内服療法
ビタミンA誘導体(チガソン):表皮細胞の異常な増殖を抑えます。
早く効果が出ますが、口唇炎、催奇形性、肝障害など副作用もあり、主に重症例に投与します。
シクロスポリン(ネオーラル):サイトカインの産生を抑制し、炎症を抑えます。
高価ですが、特に関節炎を伴う場合に効果的です。
高血圧。肝腎障害のリスクがあり、注意して使用する必要があります。
⑤生物学的製剤(抗TNF-α抗体、抗IL-12/IL23p40抗体)
サイトカインの働きを直接弱める注射製剤です。
大変高価な薬(高額医療)ですが、発疹の範囲が広く、外用が難しい場合、関節症状がある場合に非常に効果的な新しい治療です。
免疫抑制作用があるので、重症な感染症、結核、悪性腫瘍がある場合は使用できません。
関節症状がない場合は抗IL-12/IL23p40抗体(ウステキマブ【ステラーラ】)が投与間隔、治療効果の点で優れているようです。

 


2.関節症性乾癬

症状

乾癬の発疹に伴って関節痛、関節の腫脹、関節変形をきたします。
乾癬全体の5%くらいといわれていましたが、最近では10~15%くらいではないかと思われています(関節痛が軽症だと見過ごされる場合が多い)。
リウマチは左右対称の関節症状が出ることが多いのに対し、関節症性乾癬の関節症状は左右不対称であることが多いです。
手指足趾が赤く腫れ上がる、爪に点状の陥凹を伴う変形も関節症性乾癬を疑う所見です。
乾癬発症後10年くらいでの発症が多いですが、まれに関節症状出現後に乾癬の発疹が出てくることもあります。

 

検査

レントゲン、MRIなど画像でリウマチとの区別が付くことが多いです。
また採血でリウマチ因子が陰性で抗MMP-3抗体が高値である場合が多いです。

 

治療

変形を抑えるためにも早めの治療が大切です。

①非ステロイド系消炎鎮痛薬内服
軽症例に使用します。
②メトトレキサート内服
リウマチなどに使用する免疫抑制剤で関節炎の炎症を抑えます。
メトトレキサートのみでは関節の変形が完全には抑制できないので、近年になり、生物学的製剤との併用が多く行われています。
肝機能障害などに気をつけて使用する必要があります。
③生物学的製剤(抗TNF-α抗体、抗IL-12/IL23p40抗体)
TNF-α抗体のなかのインフリキシマブ(レミケード)がもっとも関節変形予防に対して有効です。

 

乾癬とメタボリック・シンドロームについて

日本人に乾癬が増えてきた理由には、生活の欧米化とともに肉の摂取が増加、魚や野菜の摂取が減少してメタボリック・シンドロームが増加していることが挙げられています。
乾癬患者の数はメタボリック・シンドロームの人に有意に多く、日ごろの診療でも体重増加とともに増悪し、体重減少とともに改善する事例を多くみます。
脂肪組織の中から分泌されるアディポサイトカインの中には乾癬で増加するTNF-αも含まれており、発症増悪に関与しているためとされています。
また近年重症の乾癬では心筋梗塞の発症頻度が有意に多く、死亡時年齢も5年程度短くなるといわれています。
以上の事より、乾癬は皮膚だけの病気ではなく、全身炎症性疾患として生活習慣も含めきちんと治療していく必要がある病気として再認識されています。